大阪独自大会最終決戦 大阪桐蔭対履正社

こんにちは、Ujiです。

大阪独自大会最終決戦 大阪桐蔭ー履正社の一戦の感想を書こうと思います。

長引く雨で試合が延期した結果、大阪の独自大会は準決勝で打ちきりに。その最後の試合が桐蔭と履正社で終わるのは宿命か。両チームが対戦するとなると甲子園と関係のない春の大会でもフルメンバーで望んでまで勝ちに行くほど互いを意識している。この独自大会でも例外ではなく全力で勝ちに来たチーム同士の対決はとても熱かったです。

毎度長くなりますが最後まで読んで頂けると幸いです。

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スコア
















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緑線が投手交代を意味しています。ピンクは勝者水色は敗者に分けました。

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感想

 大阪府独自大会最後の戦いは履正社が大阪桐蔭を9-3で破った。夏の直接対決で21年ぶりに勝利した履正社。05年から11連敗を喫し苦汁をなめ続けた。それだけに各選手は「俺たちの代で」、「圧倒して勝つ」(関本主将)と意気込んだ。プレーを見ていてその思いが伝わった。

 大阪桐蔭の3投手から16安打を放ち9点を奪った。どの打者も選球眼が良く、際どいボール球には手を出さなかった。三者凡退で終わることがなかった。履正社は10年以上前からスイングが鋭く年々打線が脅威になっているのだが、今年は今までにはない怖さを感じた。

それは2回に起きた。
連打と四球で無死満塁のチャンスに打席には8番の中原くん。2ストライクからひざ元に落ちるスライダーをしっかり捉え、レフト線を破る逆転の3点二塁打となった。本来なら空振りを奪えるコースで決め球となるはずだった。それを中原くんは低めの球にも体勢を崩さず、しっかり振り切ったのだ。今大会無安打だったのが信じられない。見てる私ですらショックだった。プレーしている選手には点差以上にダメージを受けただろう。

この低めの対応は偶然に思えなかった
3回先頭の大西くんが2ストライクからの低めのチェンジアップをカットした。ひざ元に落ちるボールでこれも普通なら空振りを奪えるはずだった。それをバットに当てられ、しかもタイミングも合っていた。低めのスライダーを上手くカットする選手が何人かいた。投手を攻略する方法として、低めの球には手を出さないことで投球の幅を狭め、高めに来た球を打ちに行くのがよくあるパターンだ。だが今回の履正社打線は低めの球をもしっかり振り切ることで投手にプレッシャーをかけ、高めに来た球をヒットにした。投げるコースがなかった。「圧倒して勝つ」思いが打撃に出たのか、見てて怖かった。藤江くんは秋から全体的にパワーアップしたその藤江くんを完璧に攻略した今年の履正社打線は昨年全国制覇したものより一段階上に感じた


関本くんのリードも光った
2回はストレート中心の配球だった。しかし岩崎くんのコントロールが不安定であること、そのストレートを打たれ1点を先取されたこともあり3回はカットボール中心の配球に切り替えた。失点を許さなかったものの、満塁のピンチに立たされ空振りも中々奪えずこの回だけで32球も投げさせられるなど苦しい場面だった。そんな中、2球だけ空振りを奪えた。アウトコースのカットボールだ。関本くんはこれに気付いたのか4回以降はアウトコース中心の配球に切り替えた。これが右の強打者が並ぶ桐蔭打線に効いた。リードされた焦りから振り回すようになった打者にアウトコースのカットボールを投げることで面白いように空振りを奪えた。またアウトコースを意識したころにインコースを投げて詰まらせた。5回の桐蔭の攻撃はいずれも右打者で術中にはまってしまった。相手の弱点を見抜いた関本くんの頭脳と、そこに正確に投げた岩崎くんのコントロールが素晴らしかった。バッテリーがつかんだ勝利ともいえる。


敗れた桐蔭。
5回までに9失点を喫するなど投手が攻略された。6回に2点を返し6点差まで詰め寄ったものの、あと1点を失えばコールド負けと常にピンチに立たされていた。それでも9回まで試合をし簡単には終わらせない王者の意地を見せた。

圧巻は松浦くんだ。6回からマウンドに上がった2年生左腕はあと1点を失えば負ける状況でもしっかり腕を振って3回を0に抑えた。中でも6回に満塁のピンチで小深田くんをストレートで空振り三振を奪ったシーンは痺れた。小深田くんは落ち着いた雰囲気があり、強力な打線の中で一番スイングスピードが速くパワーもある。ここまで4安打と手が付けられない状態だった。そんな彼から三振を奪い、8回もレフトフライで打ち取った。松浦くんは小深田くんにストレートの真っ向勝負を挑み2度の勝負に勝った。窮地に立たされたチームを救う圧巻の投球に大きな将来性を感じた。先でどんな投手になるのか楽しみで仕方ない。

打線はあと一本が遠かった。2回、3回は満塁、4回は1死1,2塁と攻めていた。岩崎くんの踏ん張りもあったが、打順を準々決勝と大きく変えた(1番の池田くんを5番へ、5番だった上野くんを6番へ。野間くんを1番、吉安くんが7番スタメン復帰)ことが今回良い方に行ってくれなかった。今まで通りの打順だったらと悔やむ場面もあった。

西谷監督は大会期間中に打順を入れ替えることが多い。誰がどこを打たせば一番力を発揮できるか常に考えているだろう。2度目の春夏連覇した時の藤原くんも2年生までは主に1番だった。西谷監督が夢に出てきたという理由で藤原くんを4番にしたがこれがうまくいった。夢に出るほど考えているし、実際に試してみないとわからない。夏でも変動が多いのはそれほど打順を決めるのが難しいのだと思う。変動が少ない時はとてつもない力を発揮している。08年、12年、14年そして18年。中でも14年の中村世代は守備位置と打順がこれ以上にない最高の組み合わせだった。チーム力は歴代でもトップだと思う。
今回は新型コロナの影響で春の公式戦が中止になるなど試合できない時期があった。そこで試せてたら打順もより固定できたかもしれない。貴重な公式戦で試せなかったのが今に響いたかもしれない。


そんな打線に1つ明るい話題があった。吉安くんの復帰だ。怪我の影響もありこの試合が初登場だったが、その初めての打席でいきなりタイムリー二塁打。6回もライトオーバーの二塁打を放つなど2本の長打を放ち共に点に繋げた。昨夏から中軸を担ってただけあって頼もしく感じた。彼の打撃はチームに必要である。甲子園の交流試合でも思う存分力を発揮してほしい。


両チームのプレーは今まで以上に高く感じた。加藤ー伊東の桐蔭二遊間コンビも高校レベルを凌駕する連携プレーを見せたし、履正社の内野陣も2つの併殺を記録するなどこちらの連携も上手くいってた。とてもコロナで数ヶ月練習・試合が出来ない時期があったとは思えなかった。


この独自大会で履正社は3年生全員で戦って最後まで勝ち抜き、桐蔭を破る歴史的な1勝を挙げた。秋のリベンジを果たし、積年の思いを叶ったこの1勝は非常に大きい。一方、桐蔭も3年生を中心に戦い、9人の2年生が経験するなど新チームに向けて大きな収穫を得た。関戸くん、松浦くんと左右150越投手がいるのが何と心強いか。

秋は桐蔭がリードしているが、夏に急成長する履正社も油断できない。来年もこの2チームがしのぎを削りそうだ。

最後に残された甲子園の交流試合で悔いなく戦ってほしい。共に勝利して秋に臨みたいです。



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