明石商業、同県対決制しベスト4進出


10/28に行われた近畿大会準々決勝の第二試合、報徳学園(兵庫3位)対明石商業(兵庫1位)の試合について書いていきたいと思います。

 勝てば甲子園の大一番。順位だけを見れば明石商業が有利かもしれませんが、兵庫大会での報徳学園は兵庫2位の神戸国際大付属にサヨナラ負け、明石商業はその神戸国際大付属にサヨナラ勝ちするなど、この2校に大きな差はないと思います。

 また、報徳学園は今年の夏こそ小園海斗(広島カープ1位指名)を擁して甲子園ベスト8まで進出しましたが、私の中では前評判が低い時の方が勝ち上がるイメージが強いです。
09年春、10年夏そして17年春と何れも甲子園4強まで勝ち進みましたが、前評判は低く優勝候補にも上がっていなかったです。このチームも初戦で優勝候補の近江(滋賀1位)を逆転で勝っています。勝たないと甲子園はない状況で背水の陣の覚悟で行けば明石商業にも勝つのでは?と予想してました。

 一方、明石商業ですが逆境に強く簡単には負けないチームです。今年の春の近畿の大阪桐蔭戦、甲子園の八戸光星戦では序盤に6点のリードを許しても終盤に追いつくように驚異の追い上げを発揮します。これらの試合は負けはしたものの延長まで持ち込む好ゲームを展開しましたし、この近畿大会の初戦は前半のビハインドを終盤にひっくり返し何とか勝利しました。先手を取ったからといって安心できないチームですね。明石商業は負けても甲子園の可能性を残しており、油断すると報徳学園に負けてもおかしくないです。


試合を振り返りましょう。

 先攻の報徳学園は6番三宅くん以外は初戦と同じオーダー。西井くん、大崎くん、林くんは甲子園経験者。3番赤崎くんは初戦2安打に決勝犠牲フライ、4番浦上くんはレフトスタンドに特大ホームランを放っています。5番岸野くんも2安打を放つなど楽しみな選手が多くいますね。

 後攻の明石商業は7番の清水くんと先発宮口くん以外は初戦と同じオーダー。この清水くんを含め7人が夏の甲子園メンバー、溝尾くんは春の近畿大会メンバーと経験者が本当に多いチーム。唯一岡田くんは経験者ではないものの、初戦で2安打を放ちましたし、どの選手も応援したくなります。宮口くんは初戦4回からのロングリリーフしています。


・1回表 報徳学園


明石商業の先発宮口くん、スライダーの制球がよく簡単に崩れないです。

 2番中井くんが投手強襲の内野安打で出塁。3番赤崎くんのところで2ストライクから盗塁を試みるも守備妨害でアウト。打者も空振りしたため三振ゲッツーという形でこの回を終了します。

 今回は打者が捕手の送球を妨げたとして守備妨害の判定ですが、観客席から見て邪魔をしたようには見えませんでした。初戦でも同じようなシーンがあり、守備妨害に厳しいような気がします。


・1回裏 明石商業

 報徳学園の先発林くん。ストレートで押すタイプ。スライダーもキレがいい。

明石商業の早打ちもありたった6球で三者凡退に抑えます。最高の立ち上がり。


・2回表 報徳学園

2死から6番三宅くんがサードのエラーで出塁するも得点ならず。


・2回裏 明石商業

 1死から溝尾くんが三遊間を叩き割るレフト前ヒット。バントで送り今日スタメンの志水くんでしたがレフトへのファウルフライ。無得点。


・3回は両者三者凡退に倒れます。


・4回表 報徳学園

 1死から3番赤崎くんが四球を選ぶも、4番浦上くんが三振に5番岸野くんがレフトフライに倒れます。無得点ですが打者4人で21球投げさせるなど報徳打線はしぶとかったです。


・4回裏 明石商業

 先頭の水上くんがライト前にヒット。3番重宮くんが初球に送りバントを試みますが打ち上げてしまいます。投手が捕球して一塁になげるも誰もカバーに入っておらず、ボールはファウルゾーンへ転々と。。。水上くんは2塁に進みます。
4番安藤くんは3球三振、5番溝尾くんはライトフライに倒れこの回無得点。

 無得点で終わったものの報徳学園に勿体無いミスが見られました。重宮くんのバントフライで一塁にカバーが入れば併殺打を取れましたが、バントシフトのためか一塁手が前に出ていました。


・5回表 報徳学園

 三者凡退に倒れます。

・5回裏 明石商業

 先頭の河野くんが一塁線を破るヒットで出塁。ライトの打球処理が早く単打に終わります。7番清水くんがバントを試みるも打球は捕手の正面へ。西井くんが取って二塁に送りアウト。後続も倒れこの回無得点。報徳学園の守りの前に明石商業はチャンスを広げることができません。


前半を終えて
 両者共に無得点で報徳学園は1安打、明石商業は3安打と文字通りの投手戦に。打線は球数を多く投げさせる報徳学園と早打ちの明石商業で、5回を投げて明石商業の宮口くんは71球、報徳学園の林くんは53球ですが、明石商業が押しているように見えました。共に終盤に強いのでどんな展開になるか楽しみです。


・6回表 報徳学園

 2死から中井くんがファーストへのゴロを放つも足が速く内野安打に。3番赤崎くんのところで盗塁をしかけこの試合初めて得点圏に走者を進めるも、三振に倒れ無得点。


・6回裏 明石商業

 1死で水上くんがサードへのゴロ。浦上くんはよく取り一塁に送球もベースが離れていましたエラーで出塁。続く重宮くんはライト前ヒットを放ち一塁走者は3塁まで進みます。
そして4番の安藤くんですが、ショートの併殺打に倒れこの回も無得点。中々チャンスを生かせません。
 
重宮くんのところで報徳学園は守備のタイムを取ります。ヒットは打たれたものの、次の打者を抑えました。ピンチになる前に内野陣で確認を取り合ったのか落ち着いたプレーが見られました。
名将と言われる明徳義塾の馬渕監督や元済美の上甲監督はピンチになる前に守備のタイムを取りピンチを切り抜けます。良いタイミングでタイムを取った報徳学園大角監督。名将になる予感がします。


・7回表 報徳学園

 先頭の浦上くんがレフト前ヒットでチャンスメイク。5番岸野くんが送りバントを試みますが、これが捕手の正面へ。二塁一塁にボールが送られまさかの併殺打。後続も倒れ無得点。やられたら倍にして返す明石商業の守備陣。

・7回裏 明石商業

 ようやく試合が動きます。1死から6番河野くんがセカンドの左を襲うヒット、7番清水くんがセンターへのヒットで1,2塁のチャンス。

ここで報徳学園は守備のタイムを取ります。タイムは流れを切ることもあり明石商業は後に併殺で倒れるなどチャンスを生かしきれないところがありました。しかし今回は明石商業は流れを渡しませんでした。

 今日無安打の岡田くんが右中間へ2塁打を放ち1点を先制。更に宮口くんがライトへ2点タイムリー。この回3点を先制します。

宮口くんのタイムリーヒットは報徳学園にとってダメージが大きかったと思います。
投手とは言え初球からでもスクイズを決める宮口くんを相手に報徳学園は警戒します。宮口くんもフルカウントまでスクイズの構えを見せ、最後はストレートをハーフスイング。しかしこれがバットに当たり、そこそこ強い打球は前進守備の頭を越えてヒットに。
林くんのストレートは勢いがあって打ち取られてもおかしくなかっただけに、このヒットは試合を決めたといってもいいと思います。それほど大きいものでした。

・8回表 報徳学園

 反撃に出たい報徳学園は先頭の8番大崎くんがサードのエラーで出塁。9番は前の回に変わっている坂口くんが送りバント。1番西井くんは三振に2番中井くんは一塁ゴロに倒れ無得点。

中井くんのところで宮口くんが2塁に牽制球を投げますが誰もカバーに入らずセンターに抜ける間に走者は3塁へ。ピンチを広げたものの宮口くんは落ち着いた投球で抑えました。

・8回裏 明石商業

 先頭の4番安藤くんがレフトへクリーンヒット。2塁に送って6番河野くんが本日3安打目となるライトへのタイムリー2塁打。後続は断ちましたが4-0と明石商業がリードを広げます。

・9回表 報徳学園
 
 3番からの好打順ですが。赤崎クンが一塁ゴロ。浦上くんはショート右に抜けるヒットで出塁、代走に吉村君を送るなど一つでも先の塁に進む意思を見せます。岸野くんが2ストライクまで追い込まれファウルで粘りますが、三振に倒れます。吉村君も盗塁を試みるもタッチアウト。三振ゲッツーで倒れゲームセット。


同県対決は明石商業が制し、来年春の甲子園は確実です。
甲子園夏春連続出場おめでとうございます。

 本日も大活躍の宮口くんは相手打線の粘りもあり139球を投じましたが最後まで球に力がありました。制球が良く3ボールからでもストライクを投げることができるので四球が少なくてすみますし(この試合わずか1個)、また変化球でカウントが取れるので打者は狙いが絞りにくい。打たせて取ることができる良い投手です。甲子園でもその投球に注目したいです。

 一方、報徳学園は来年春の甲子園は厳しいですが、ひと冬越せば面白いチームになると思っています。バッテリーとショートが残っていますし、近江を破るなどチーム力はあると思います。今回4安打完封と打撃に課題が残りましたが、選手はまだ線が細いのでトレーニングをこなして身体を大きくしパワーが付くのと、元々機動力があるチームなのでうまくかみ合えば得点力も上がると思います。来年には兵庫を代表するチームになっているのでは?と期待してしまいます。

秋はどうしてもチームを作る期間が短く(甲子園に出たチームなら余計に)、チームの形がなかなかできないところが多いです。それでも甲子園を決めるところまで勝ち上がるのは凄いです。途中で負けても課題が残るので来年春までにどこまで改善できるのかを注目すれば高校野球はもっと面白くなると思います。秋はどうしても来年春の甲子園への選考会を意識してしまうのですが、同時にチームや選手が将来どういう風になるのか夢を見ることもできる期間です。

 16年秋に桐蔭の藤原(千葉ロッテ1位指名)を見たとき、骨格が他の高校生と全然違いましたし、打撃技術も良かったので将来どうなるんだろうと思ったら、翌年甲子園の初戦でいきなり痛烈な2塁打に、決勝では2本の本塁打。期待の選手を見つける楽しさがあります。

 また、15年夏に三重の津商業が甲子園初出場を決めましたが、そんな高校が智弁和歌山を倒し、しかも秋の東海大会まで勝ち上がるほどの戦力を有していたなど大会が終わってから知ることもよくあるのです。夏の甲子園出場校を予想するのに直近の春の大会を意識しがちですが、案外秋の成績も侮れないことが多いのです。

来年の夏への楽しみが既に秋から始まっているといっても過言ではないので、行ったことない人は是非見てください!

コメント

人気の投稿