春季全国大会京都予選準決勝 東山ボーイズ対嵯峨野ボーイズ

 こんにちは、Ujiです(@sakushingakuin_)

続いて準決勝第2試合 東山ボーイズ 対 嵯峨野ボーイズとの対戦です。


こちらも最後まで分からないハラハラした展開でした。両チーム9月に対戦し嵯峨野ボーイズが11-3の5回コールドで勝利。普段は冬を越して2月に春季全国大会が行われるはずだが、今年はコロナの影響もあり12月に予選を開催。普段と違うスケジュールにバタバタしたはずだが、互いに準決勝まで勝ち上がり再度対戦することに。前回のリベンジを果たそうと東山ボーイズは気合十分でした。

以降東山ボーイズを東山、嵯峨野ボーイズを嵯峨野と略させてもらいます。


目次

スコア



表の△は左打者
盗塁:近澤(1回)、上田(1回)、金本(4回)、大藤(6回)
暴投:山本(5回)
牽制死:近澤(5回)
本塁打:西村(4回)

タップすると拡大してみれるようになっています。

緑線が投手が交代したところです。


戦況

打倒嵯峨野の先陣を切ったのは近澤くん。先頭打者としてレフト前ヒットで出塁すると盗塁などで1死3塁とチャンスメイク。そのあと満塁となり2つの押出しにより2点を先制した。得点した選手はガッツポーズするなどこの試合に対する思いが伝わった。直後の守備で2死から満塁のピンチを招くも無失点。満塁のチャンスを活かせた東山と活かせなかった嵯峨野。初回の攻防が勝敗に大きく影響した。

追い上げたい嵯峨野は3回先頭の濱谷くんが二塁打で出塁。3塁に進んだあと、5番松尾くんがレフトへ大飛球。濱谷が生還し1-2と1点差に詰め寄ります。簡単に外野へ飛ばすあたりさすが強打の嵯峨野だった。

しかし直後の4回東山が突き放す。先頭の6番西村くんが2球目を完璧にとらえレフトへホームラン。打った瞬間それとわかる当たりでレフト黄瀬くんも数歩で諦めるほど。東山に大きな大きな1点が入った。西村くんはまだ1年生。後に山本くんから安打を放っている。パワーがある打者は先でも楽しみだ。

3-1と東山リードで迎えた7回裏嵯峨野が反撃します。2死1,2塁から4番山本くんがタイムリーを放ち、3-2と追い上げる。尚も2死1,2塁、5番松尾くんが3球を捉えるも打球は一塁へ。ファーストが捕球してそのままベースを踏み試合終了。

9月に大敗を喫した東山がリベンジを果たした。

 

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感想

     リベンジを果たした東山。初回に2点を先制して試合の主導権を握り、終盤1点差まで追い上げられるも逃げ切った。リードしていたとは言え、わずか1,2点。強打の嵯峨野相手だといつひっくり返されてもおかしくない点差。だがこの点差が東山を最後まで気を引き締めた状態で試合することができた。

 東山は初回に俊足の近澤くんが出塁できたことが大きかった。先頭打者として安打で出塁すると二塁に進み盗塁で三塁まで到達した。これで嵯峨野バッテリーはプレッシャーを感じたのか4つの四死球を与え2点を献上。この2点が勝敗に大きく影響してしまった。

 東山の近澤くんは足が速く、東山関係者も「失敗した記憶がない」というほど盗塁も上手い。三塁の盗塁も当たり前のように決めた。彼が三塁に到達すると嵯峨野守備陣は1点を阻止すべく前進守備を敷いた。見ている方ですらプレッシャーを感じた。バッテリーも感じていたかもしれない。結果押出二つの2点。近澤くんの存在は大きく感じた。近澤くんは旧チームからの経験者で前はショートだったが今は足を活かしてセンターを守っている。やはり守備範囲は広い。さらに小学校時代に捕手もしていただけあって肩も強い。この試合一塁走者が三塁へ進むのを阻止すべくサードに送球する場面があった。走者に当たったためアウトにすることはできなかったが、送球は低くて鋭くそして正確。肩の強さは武器にもなれる。高校は内外野どっちで勝負しても上のランクまで上がれると思う。

 2点のリードを先発した橋本くんが守り切った。相手は強打の嵯峨野ボーイズ。甘く入って長打にされた教訓を生かしコースを投げることを心掛けた。とはいえこれは難しくストライクゾーンから大きく外れることも多く、四死球は7つも与え6回終わったときには100球を越えていた。最終回も20球を投げ、低めの球は垂れてボールになるなど体力的にも限界に近かったはずだ。それでも甘いコースを投げないことを徹底した。勝利に導いた完投は額面以上の価値があり誇れるものだ。自信になる。

守備も良く守った。試合前の守備練習ではポロポロこぼすとこが見られたもののだんだん修正、ピンチが続いても集中して一つずつ確実にアウトを重ねた。無失策で守れたのも勝利の一因だ。

走攻守しっかり機能しており、またベンチも終始声を上げるなどチーム一丸となって戦う姿が印象に残った。この試合に対する思いが伝わった。


一方で、嵯峨野は5回まではベンチも静かなどチーム一体となって戦っているようには見えなかった。気になったシーンが2つある。

1つは盗塁時に打者のアシストがなかったこと。4回と5回に嵯峨野は盗塁を試みたが打者は空振りをしなかった。幸い共に捕手の送球が逸れたため成功したがタイミング的にはアウトだった。盗塁は走者の判断か?もしベンチからサインが出てたとしたら打者は空振りをすることで捕手の送球のロスを生みたい。打者と走者の連携がうまくいけば盗塁だけでなくエンドランの成功率が上がり得点パターンや得点率が大きくアップする。上に行けば1点を取るのが難しく重要性も高まる。嵯峨野は打撃も強力で足もある。足し合わせたらより得点力が増す。

もう1つはグランド内で情報交換をしている様子が見えなかったこと。打者がアウトになったらネクストバッターズサークルにいる選手に情報を伝えるのだが、それらしい様子を最後まで見ることがなかった。打席での情報を後の打者に伝えるとその人はイメージトレーニングができる。攻略するのも早くすることができる。2014年に夏の甲子園で優勝した大阪桐蔭は打者がアウトになったらネクストと監督、ベンチに情報を伝えた。それだけでなくコーチャーと走者間で情報を伝達する様子もある(2014年春季近畿大会 大阪桐蔭対立命館宇治)。どこまでが許される範囲かわからないが、打者がアウトになってもネクストに情報を伝え、試合に影響が出ないように全力疾走で移動するなど参考にできるところはある。ぜひ実践してほしい。

 嵯峨野個々の能力は高く、経験者も豊富。志賀くん、濱谷くん、金本くんに山本くん。志賀くん濱谷くんは旧チームでは主軸、山本くんはエースだ。濱谷くんは反撃の狼煙となる2塁打を放ち、果敢に次の塁を狙うなど走塁意識もある。主将になってプレーでチームを引っ張るように見えた。山本くんは走者がいると球威が落ちるなどの課題があったが、今回は落ちないことも増えた。また近澤くんを牽制で刺すなど課題にとりこんでいる様だ。5番の松尾くんは3回に犠牲フライを決めたが、フライが欲しい場面できっちり打てるところはさすがである。

ただ、個々の能力が高いチームは接戦や劣勢になると脆くなるケースを良く見る。大阪桐蔭はよくある例で、中田翔のいた2007年世代に森友哉のいた2013年世代など。選手の潜在能力は高く打撃は確かに凄かった。一方で、2012年の藤浪世代や先ほどの2014年世代、2017年の福井世代は確かに能力の高い選手は揃っていたが、それ以上にバントやエンドランなど小技が上手く、連携プレーがきちっとできておりチームとしての完成度は高かった。こういったチームは強く甲子園でも優勝してる。

嵯峨野は攻撃力はある。守備も悪くない。走れる選手もいる。投手もいる。これらを上手く連携できたら接戦や劣勢に強くなれるかは正直わからない。でも確実に強くはなれる。この負けがあるから強くなれた。そう思える一戦であってほしい。冬を越えてからが楽しみである。


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